公開データを見るだけでは分からないことがあります。
私たちは実際に現地へ足を運び、「何が本質的な問題か」を問い直して、
その解決に向けて実践的にアプローチする研究室です。
ソーシャルデザイン研究室(都丸ゼミ)では、農家の高齢化による耕作放棄地の問題、経営者の高齢化による中小ものづくり企業の減少など身近な社会課題に焦点を当て、その課題に対する理解を深めるとともに、デザイン的アプローチを通じて解決策を提案します。特に、地域住民、企業、自治体と連携して、現場や顧客視点でソリューションを生み出し、そのソリューショを具現化するためのソーシャルビジネスを立案します。本活動を通じて、社会活動に役立つ次の3つの能力を養います。①現場や顧客の抱えている課題を浮き彫りにし問題の本質を明らかにする能力 ②デザイン思考、システム思考、創造的思考の理解 ③顧客価値創造とソーシャルビジネスの提案能力
耕作放棄地の再生、地域資源の活用等、社会課題を捉え、地域・企業・行政と連携しながら実践的な活動を行います。
顧客価値分析をベースに、企業や自治体で展開してきた能動的学習法で、事業構想の方法論を身につけます。
デザイン思考やアイディア創出技法を用いた今までにないユニークな製品やサービスをデザインし顧客ニーズの妥当性を検証します。
富士ゼロックス株式会社にて事業計画、製品企画・開発、調達、生産分野を経験。米スタンフォード大学で顧客価値分析を活用したビジネス創出の方法論を学ぶ。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科 後期博士課程修了、城西国際大学メディア学部 教授、同大学院ビジネスデザイン研究科教授を経て現職。慶應義塾大学大学院ではソーシャルイノベーションの講義を担当。
みかんで有名な小田原片浦地域。農業従事者の平均年齢は70歳を超え、農家数は1980年代のピーク時の約1/4にまで減少しています。耕作放棄地は、日照不足になりやすい北側斜面を中心に広がっています。本研究室は、この現場に幾度も足を運び、参与観察と仮説検証を重ねて、これらの課題解決に取り組みます。
農家の高齢化と収穫期の重労働、鳥獣被害の実態、夏場の台風や高温による柑橘の育成不良、そして傾斜のきつい斜面――。公開データだけでは把握できない地域の現実を、現地調査から掘り起こします。
みかんより単価が高く、鳥獣被害が少ないこと。そして、耕作放棄地となっている日当たりの悪い農地を活用できること。これらを条件に農作物を徹底調査しました。みかん・うめ・キウイ・ブルーベリーなどと比較検証を重ねた結果、条件を満たす理想の作物として「レモン」に着目しました。
レモンはみかんに比べてキロ単価が高く、鳥やイノシシの被害もほとんどありません。さらに、年間を通じて収穫期間が長いため、農家の収益向上に大きく貢献します。また、日当たりの悪い農地でも十分に生育できるため、耕作放棄地の有効な解決策としても期待されています。
学生、行政(小田原市)、地域(農家、片浦レモン研究会、JA等)、そして大手企業が連携。耕作放棄地の整備からレモンの植樹、収穫、PR活動まで、幅広い連携のもと活動を行っています。
*プロジェクトに関連する論文のみを掲載しています。他はresearchmapに掲載
王嘉珍・都丸孝之「みかん畑の耕作放棄地を活用した高齢農家の収益性改善の提案」地域活性研究 Vol.22, pp.71-79(査読付)
都丸孝之「無農薬レモン生産による農家の収益性評価」地域活性研究 Vol.19, pp.169-178(査読付)
都丸孝之「リスクと税率がみかん耕作放棄地の再生と柑橘生産活動に及ぼす影響評価」地域活性研究 Vol.14, pp.115-123(査読付)
都丸孝之「小田原市の柑橘樹園地を対象とした農地価格の検証」地域活性研究 Vol.12, pp.123-132(査読付)
都丸孝之・林美香子・当麻哲哉「みかんの耕作放棄地を活用したみかん・レモン生産の事業性検証」地域活性研究 Vol.10, pp.89-96(査読付)
都丸孝之・西山紀明・横田宰也・林美香子・中野冠「みかん耕作放棄地の再生の可能性検証」地域活性研究 Vol.9, pp.194-200(査読付)
ソーシャルデザイン研究室(都丸ゼミ)では、社会課題の現場に飛び込み、仮説検証を繰り返しながら課題解決に挑む仲間を歓迎しています。実務経験の有無や出身分野は問いません。
座学だけでは満足できず、畑でも工場でも街でも、自分の足で歩き、自分の目で確かめたいという人。
「なぜ?」を大切にできる人。常識や公開データにとらわれず、自分なりの仮説を立て、検証しながら考えを進化させたい人。
農家、自治体、企業、他大学などの多様なステークホルダーと協働しながら、社会実装にいたるまでやり切りたい人。